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Dog

最終更新: 2019年12月7日


「コンセプト無いのがコンセプトで」

「最強で最速」

「結局は理想主義なお店」

「俺らは、あくまでファッションをやっているわけで」

「インスタグラマーが原宿をだめにしている」


Dog店長 コンボイ氏より


2017年7月10日インタビュー ライター:Kazuho

流行の最先端、原宿。 ここ原宿では、日々目まぐるしく流行り廃りのサイクルを回転させ、街ゆく人々の格好に大きく影響を与えている。ここは、ファッションの街である。

原宿には、実に多様なファッションがあり、堂々と自己表現ができる空気感がある。青文字系、モード系を始め、ゴシックロリータからパンクス、B-BOY…。 これ程までに色々なファッションが一同に会する街が世界にあるだろうか。

原宿の流行の歴史について触れてみよう。

遡ること60年代中頃、原宿に高級マンション「コープオリンピア」が建設された。そこへ多くのアーティストや文化人がステータスを求め集うようになり、結果的にこれが今日の原宿と言うブランドの原点になったと聞く。

「原宿族」を始め、そこから「竹の子族」、「ロックンローラー族」、「カラス族」など数々の族が形成され流行っては廃れた。若年層にとってはあまり馴染みのない言葉だが、間違いなく彼らが原宿の文化と流行を作ってきたと言える。

今日の原宿を覗いてみよう。偉大なる先人達のお陰で、日々、新進気鋭のファッショニスタ達が挙ってこの街に集い、それぞれの顕示欲を満たしている。 流行に肖る者もいれば、それを否定しまた新しい流行を作ろうする人もいる。こうして原宿は今日も新しい風を吹かせることに忙しくしている。

しかしそんな中でも、我々は俗世の流行に左右されない「おれら流」を掲げるショップを訪ねた。

原宿といえばやはり竹下通りのカラフルでデコラティブなイメージが強いが、我々が今回紹介するショップは、裏原にある。

知らない人の為に解説する。

裏原宿、通称裏原。 山手線から見て明治通りより先にある一帯、竹下通りよりも後に若者向けのショップが進出したことから「裏」原と呼ばれている。 故に華やかで賑わう竹下通りとは一線を画し、よりディープで味わい深い雰囲気がある。

当ショップは裏原の中の「とんちゃん通り」と言う通りに面しており、そこもまた原宿を語るには欠かせない通りである。当ショップの店長に言わせれば、「とんちゃん通りが原宿の聖地であって、一番リアルなストリート」だと言う。いかに神聖な場所かがわかる。



入り口には無造作に貼られたステッカー。キメラのようなマネキン。暗い地下へと続く階段。その門構えはさることながら、文字通りのアングラである。

マネキンを横目に階段を下って行くと、そこにはまるで無法地帯をファッションで再現したかのような世界観が広がっていた。



dogという名のアパレルショップを、原宿のファッショニスタで知らない人は居ないはず。dogは2000年からここ、原宿のとんちゃん通りで営業をスタートした。その常識に囚われない唯一無二のクリエーションが、一部の原宿っ子に受け、昔から原宿のカリスマ的アパレルショップとして知られている。

また、店長いわく「進化し続ける」dogは、定期的に店内の内装をがらりと変え、足を運ぶ人に毎度の衝撃を与えている。その挑戦的な姿勢もやはりこのdogの魅力の一つであろう。



歌舞伎と袖に大きく書かれたこのジャケットは我々サブカルトーキョーの目にも衝撃的に映った。日本の伝統舞踊である歌舞伎の浮世絵にこれでもかとアレンジを加えたジャケットは、見事なまでにdog 世界観に落とし込まれている。ちなみに、浮世絵は我々のサイト内(前サイト)でも多様しており、この仕上がりの良さは不覚にも悔しいとすら思った。



私が思うにここのアイテムの中でもずば抜けて、インパクトが強いのはマスクだと思う。

まず、このショーケースを発見次第、狂気を感じずには居られないだろう。見た目のデザインはもちろんのこと、スワロフスキーの眩い輝きは暈でも見えてしまいそうな程。

私が何よりも感動したのが、このスワロフスキーを手作業ではめていることだ。このマスクのみならず、dogのアイテムは基本的に見た目のインパクトはさることながら、ハンドメイドやリメイクという真のモノとしての魅力がある。私は、そこにdogのアパレルショップとしての上質さを感じた。



内装やインテリアにも、面白いギミックはたくさんある。キメラの様なマネキンと人体模型。宙吊りの西洋人形。塩ビパイプを不規則につなげた謎のオブジェ。「雲」のエンブレムを掲げた甲冑などなど。また試着室は、頑丈なフェンスでできており、入るとまるで軟禁されているかの様な気分になる。



(写真上:B0.5の左側 写真下:B0.5の右側)

dogは、地下にあるのにも関わらず、メインフロアであるB1とB0.5の様な空間がある。dogに足を運んだ際には是非ともB0.5も覗いて見てほしい。B0.5はB1とは、また少し違った世界観があり、尖りに尖りまくってる。



そして、このような奇を衒うアイテムの数々を求め、日本国内のみならず、海外からも多くの名だたる著名人も足を運んでいる。そういった著名人が来日した際には、この世界的に見ても唯一無二のdogに訪れる事は至極当たり前な事で、店長曰く、逆にdogに来なかったことに疑問を抱くそうだ。



そしてdogを語る上で欠かせない存在が、カリスマ店長のコンボイ氏である。二十歳の頃からdogで働き始め、今に至るまで9年間dogで勤めてきた。 今は無き、TUNEというFRUiTSと肩を並べる原宿で圧倒的な人気を誇った雑誌に毎月載っていた時期もあったという。またコンボイ氏のインスタグラムのハイテンションな商品紹介はとても愉快であり、コンボイ氏のファッションセンスのみならずカリスマと呼ばれる所以を垣間見ることができる。 そんなコンボイ氏にインタビューを交え、パーソナリティを聞き出してみようと思う。


インタビューDog店長 コンボイ 氏


「俺なんかが働けると思っていなかった」

私から視点から見たコンボイ氏はまるでdogのスタッフに成るべくしてなったかの様な方であったのだが、きっかけは偶然だったと本人はいう。

コンボイ氏は服飾学生だった頃から、dogには足繁く通っていたそうで、当時からいつかdogで働きたいとは思っていたものの、とても恐れ多くて言い出せなかったのだそうだ。そんなとき、当時の店長さんに誘ってもらい、dogで働くことになったのがきっかけである。 私は勝手ながらコンボイ氏は非常にアグレッシブな方という印象を持っていた故に、多少驚いてしまった。すると、コンボイ氏はいつでもアグレッシブではあるものの、やはりdogが大好きであるが故に謙遜して、自分なんかが働けないと思っていたと説明してくれた。

「コンセプト無いのがコンセプトで」

正直、この言葉を聞いたとき、非常に腑に落ちた。私はこの、dogのコンセプトとはいかなるものなのかという質問をぶつけた時、どんな答えが帰ってくるのかに大きく期待していた。コンボイ氏がこの様に答えた時、近くにいた副店長も深々と頷いていた。 しかしコンセプトがないのがコンセプトというのは、実際私は危険なものだと感じる。なんせコンセプトがないというのは、曖昧なクリエーションになってしまったり、全体の調和を図ったりするのが難しいと思う。

だが、ここdogのクリエーションはどれをとっても個性が際立っている上、全体のアンバランスさが魅力でもある。 上の言葉をものにしていると感じた。

「最強で最速」

コンボイ氏曰く、コンセプトがないのがコンセプトであるdogだが、強いて言うならば最強で最速がテーマだそうだ。

最も強くて最も速い。響きだけを聞いても、いかにもdogらしいテーマだと思える。そんな単純明快なテーマにはこんな深い意味があった。恐らく最強というのは、ビジュアルのパンチのことだろう。より攻撃的で刺激的、見るものを圧倒するぐらいの強さがある。

また、最強とは精神論でもあり、着ていることで自分に自信がつく、まるでdogのアイテムをスパイダーマンスーツに例えたかの様なニュアンスなのかもしれない。

そして後者の最速はより興味深く、最速と聞くと流行を捉えて発信する旬な速さをどうしてもイメージしがちではある。

しかしコンボイ氏によると、最速とは「感覚の変化の速度」である。 dogの目まぐるしく移りゆく店内の風景、そしてアイテムを見る、手に取る、着てみる。お客さんの感覚が、この膨大なアイテムから刺激され、変化していく。

dogでは、このスピード感を大事にしている。これらを強いてテーマとしていうならば、「最強で最速」なのだ。



「おれら系」

dogのスタンスを知っていながらも不躾な質問をしてみた。dogはいわゆる何系に分類されるのか。

我々はdogが原宿においても、また世界においても、我が道を行くというスタイルを貫いているということは重々承知していた。にも、関わらずもしこれを分類するとすれば、何系と呼べば良いのかについては疑問があった。そもそもdogをカテゴライズしようなんてことが愚かであるとすら思った。そんなことも考えながらも、コンボイ氏がなんて答えるかという好奇心から私は尋ねて見た。

コンボイ氏の返答は「おれら系」。そのフレーズだけで全ての納得がいった。

「結局は理想主義なお店」

一見このネガテイブな発言ともとれるこのコンボイ氏の発言の真意とは、事前に私がdogのターゲット層についての質問をしたことから始まる。

この質問に対しコンボイ氏は、「dogはターゲット層を決めておらず、全世代に来てもらえるようにしている」とのことだった。

そこで私は更にこう尋ねた。

あえて特にターゲットを絞らずに全世代を対象にしているということは、自ら流行を発信しdogについて来れる者だけついて来い

といったスタンスなのかと。

この質問は程なくして愚問だったということがよくわかった。コンボイ氏はこれに対し、

「あんまりそういうことは意識したことはなく、自分らがかっこいいと思うものをただひたすらにやっていくだけなんで、世間とか流行を気にしたことはない。俺らがかっこいいと思うものを作る、そして置くだけっていうのはdogの根にあるので、"結局は理想主義なお店"」 とのことだ。ここでもおれら系の真髄が垣間見え、加えてdogの理念についても再認識できた。そして、これ程までに美しい理想主義を謳うdogには、どこか原宿のクラッシックなスタイルすらも感じる。



「誰よりも早く服を見て、誰にも見つけられないものを見つける。」

コンボイ氏がこのように豪語するのはバイイングの話である。

というのもdogは取り扱うアイテムが独特すぎる。大きな倉庫に行って1万点の服を覗いても、コンボイ氏のお眼鏡に適うものは、なんと僅か3、4点あるかどうか。

こうしてdogの店頭に並ぶ服は本当に選ばれし服なのだと気付かされる。また、コンボイ氏の服を見ていくスピードも速く、1点に付き1秒も時間を掛けないのだそうだ。その速さ0.何秒の世界で、ディティールにもこだわったアイテムを発見するという。

それが今となっては、もうなんとなく直感で感じるのだそうな。店内のアイテムを見回したとき、コンボイ氏がこのアイテムを1万点の中から見つけたのかと思うと、コンボイ氏の嗅覚の鋭さを感じずにはいられない。

「スワロ、エアーブラシ、ちょっとパンクなノリのやつ」

これはdogが今季推しているファッションの三大要素である。この方向性についてはオーナーさんとコンボイ氏と副店長さんが核となり、三人で意見を飛ばし合い決めているそうだ。 また、dogのTシャツに施された癖のあるタッチのグラフィックは、コンボイ氏が絵を描き、オーナーさんや副店長さんが塗っていくといった感じなのだそうだ。



「俺らは、あくまでファッションをやっているわけで」

上記でも触れたように、dogには多くの名だたるアーティストや著名人がdogならではのユニークなアイテムを求めて足を運ぶのだそうだ。それを知り、そこで私は一つの疑問を抱いた。 多くのアーティストや著名人がdogのアイテムを購入し着用すれば、彼らはdogの広告塔として世に大きくdogを広めていることになる。そうすればdogはおのずとより有名になるだろう。それに関してコンボイ氏はいかがお考えなのだろうか。否定的なのか肯定的なのか。

コンボイ氏はこう語ってくれた。実際に多くのアーティストの方々に着てもらうのは大いに結構ではあるものの、その影響か、ファッションに全く関係のない観光客の人達が来るようになり、コンボイ氏的にはそれに抵抗があるという。なんにせよ、dogはあくまでファッションをやっているわけだからそう思うのも無理はない。

しかし、一方ではより広まってほしいとも考えている。というのもコンボイ氏曰く本当に服が好きな人に買ってほしいし、ファッション業界でdogがもっと広まり、世界中のファッションが好きな人にはもっと広まってほしいと考えているそうだ。

「インスタグラマーが原宿をだめにしている」

コンボイ氏はとんちゃん通りに10年程通っている。ということは原宿に10年通っていることになる。近年の原宿をその目で見て来たコンボイ氏に現在の原宿はどう映るのだろうか。 最後に個人的に最も気になる質問をしてみた。最近の若者に対して思うことはあるのだろうかと。その答えは、めちゃくちゃありますよと。

コンボイ氏がまだ学生だった頃のファッションというものは参考にする人もいなく、自分の好きなものを着たいように着て、ファッションそのもの自体をとても楽しんでいた。

しかし、今の時代はどうだろう。SNSが広まり若年層が情報を掴むのが速くなってしまった今日、憧れのアイコンのファッションを見てそのまんま同じ格好をしたり、とあるブランドが流行ればそのブランドのアイテムばっかりを身につける。

それは本当に個々がしたいファッションなのかと、それは情報に踊らされているだけなのではないかとコンボイ氏は疑問を持っている。 また、原宿は昔から個性的な街と言われていたのに対して、今やみんな同じような格好をして、みんな同じような服を買って、みんな同じように着る、そうじゃないんだよなとコンボイ氏は言う。

そして今の時代はインスタグラマーと呼ばれる存在が原宿をだめにしていると、問題の本質に迫る。と言うのも、あれは

「リアルじゃない」

と言う。インスタグラム上でフォロワーが多くて、読者モデルから芸能人になってしまうような人々が間違った原宿を発信していると。 コンボイ氏が思うに、こことんちゃん通りは原宿で一番かっこいいし、原宿で一番リアルなストリートである。

そんな原宿、もしくはとんちゃん通りが、インスタグラマーのプロデュースによって誤った捉えらえかたをされることを懸念している。 そして、同時にそれがお金になると言うのも事実ではあり、そこに商業的な大人たちが絡んでいると言うのも事実である。昔と大きく変わってしまった、原宿の在り方や若者のマインドに対して、コンボイ氏の思うことは「リアルじゃない」に尽きる。

「白黒ではなくカラフルに」



最後にdogの店長コンボイ氏から若者に向けて、「もっとファッションを楽しんでいる子が増えてほしい」と言う。

今後の原宿、とんちゃん通りはどうなってゆくのかはわからない。 コンボイ氏の願うように、原宿のファッションは、本来のあるべき姿を取り戻して再び個性的な人々で賑わう街になるかも知れないし、もしくは、大人たちの作った流行を享受するだけの画一化されたファッションがはびこる街になってしまうかも知れない。

実際、今後原宿がどうなるかは私には分からない、しかし私に分かることは、今後原宿がどうなってもきっとdogは今のスタンスを変えずに、おれら流で今後も斬新なクリエーションを続けていくことだろう。

「吟味っていうイベントをやってます」

コンボイ氏は兼ねてから自身がオーガナイズを務める吟味という音楽イベントを定期的に開いている。その8周年記念のイベントに我々も足を運ばせてもらった。 渋谷のTrunp Roomという主にファッショニスタ達が集う、東京でも一二を争う洒落た箱でイベントは開かれた。コンボイ氏もDJとして参加し、その場を大いに沸かせた。 もし、機会があり、ファッションに興味がある方は是非とも足を運んでみてはいかがだろうか。

「地下で入りづらいけど来てねー!」

最後にコンボイ氏から一言頂戴して我々は、dogを後にした。

http://www.dog-hjk.com

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